厚生年金基金の解散や代行返上が急増
平成26年09月26日
年金なび事務局長
年金なび事務局長
いつも、年金なびをご利用いただき、誠にありがとうございます。
厚生年金基金制度の見直しおこなった厚生年金保険法改正が昨年の6月19日に成立し、今年の4月1日より施行されました。
改正後の厚生年金保険法の内容については平成25年6月20日付で「年金なび」の「最新の年金情報」や、平成26年3月26日付で「年金なび」の「年金なびからのお知らせ」でお知らせいたしましたが、今回の法改正をうけて、今年度に入り、333の厚生年金基金が既に解散や代行返上をおこなったり、解散や代行返上の内諾を受けましたので、今回は、厚生年金基金の状況についてお知らせいたします。
なお、下記の情報収集の範囲において、個別の特定の基金についての最新情報については、年金なび事務局としては、把握しておりませんので、ご了承ください。
今後とも年金なびをご利用いただき、最新の年金情報の情報収集と、年金なびが提供しております、企業年金加入者向けの専用の、「福利厚生施設」のご活用も併せてお願い申し上げます。
平成26年4月1日より改正された厚生年金保険法の施行されたことに伴い、平成26年4月〜8月末で18基金が解散するとともに、5基金が代行返上をおこなっております。
また、平成26年8月末日現在で508基金のうち62%にあたる315基金が既に厚生労働省より解散や代行返上の内諾を受け、厚生年金基金の事務局では解散や代行返上のための作業に入っています。
厚生年金基金の解散や代行返上の状況については、厚生労働省のホームページで毎月発表されており、年金なびでも「最新の年金情報」で毎月お知らせしておりますが平成26年8月末日現在の解散や代行返上の基金の状況は次のとおりになっています。
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厚生年金基金制度は昭和41年10月1日付で施行され、約49年間にわたり企業年金制度の中核を担ってきました。制度の施行時に認可された厚生年金基金は87基金でしたが、その後、日本の景気も右肩上がりとなり、ピーク時の平成8年度には1,883基金にまで増加しました。
しかし、その後、バブル崩壊等による景気低迷で資産運用環境も悪化し、本来最低必要な運用利回りである5.5%の確保ができなくなり、年金資産の目減りが続きました。
年金資産の積立不足については、基金の設立事業所が補填することになっていますが、不足金の補填が企業の経営を圧迫し、企業によっては運用リスクの軽減を図るため、基金の解散や代行返上おこなって、国の代行部分を国に戻す基金がでてきたため、解散や代行返上の受け皿として、平成13年10月1日には確定拠出年金法が施行され、平成14年4月1日には確定給付企業年金法が施行されました。
この新しい企業年金制度ができたため、平成13年度末で存続していた1,737基金が、制度が施行された平成14年度末には1,656基金、平成15年度末には1,357基金、平成16年度末には838基金、平成17年度末には687基金と4年間で1,050基金が減少しました。
しかし、1,050基金のうち、中小企業等が中心となって設立された総合型厚生年金基金は101基金より減少せず、残り949基金は大手企業が中心となって設立された単独型厚生年金基金や連合型厚生年金基金となっています。
単独や連合の厚生年金基金が解散や代行返上をおこなった理由としては、厚生年金基金の設立母体が同一企業や関連企業であるため、母体企業による解散等に伴う不足金の補填が比較的おこないやすいことに対して総合型厚生年金基金は複数の事業主により設立されているため、解散や代行返上時の不足金の補填方法が難しいことが解散や代行返上ができなかった要因と考えられます。
今後の厚生年金基金の解散や代行返上は、中小企業等の同業者等で組織された総合厚生年金基金が中心になってくると思われます。
厚生年金基金数の推移については次のようになっています。
○ 厚生年金基金数の推移
企業年金連合会では、毎年財政・事業運営実態調査をおこなっておりますが、その際に厚生年金基金制度見直しの予定の調査もおこなっています。去る9月12日に発表された平成25年度の調査結果によれば、解散する予定の厚生年金基金は50.3%であり、確定給付型の企業年金として存続の方針の厚生年金基金は17.5%になっています。残り31.3%についても今後、検討する予定と回答しています。
ちなみに、昨年度の調査結果と比較しますと、今後、検討する予定の厚生年金基金は約半分に減っている一方、解散する予定の厚生年金基金は2倍になっています。このことは、法改正を受けて今後の方針ついて具体的な検討に入っていることによるためと思われます。
厚生年金基金制度改正を踏まえた制度運営方針や解散後の他の企業年金制度への移行方針の詳細については次のようになっています
1.厚生年金基金制度改正を踏まえた制度運営方針
2.解散後の他の企業年金制度への移行方針
(1.でC通常解散の方針の基金、複数選択有)
3.今後5年間の制度見直しの予定(1.で@、A、Bの基金、複数選択有)
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今回の法改正は国の年金の代行部分である年金資産積立が、最低1.0を割り込んでいる代行割れ基金については5年以内に解散をおこなうことになっています。
また、代行割れ基金をしていない厚生年金基金についても、法施行の5年後より代行部分の1.5以上の積立てを確保するか、代行部分とプラスアルファ部分や加算部分を合わせた最低積立基準額が1.0以上の積立てを常に確保することが義務付けられ、もし、確保できない場合は代行割れ予備軍と位置付けて、今後5年以降10年以内に解散や確定給付企業年金等の他制度に移行するよう指導していくことになっています。
ちなみに、厚生労働省が第14回社会保障審議会年金部会に提出した資料によれば、代行割れ基金は全体の約4割であり、代行部分の1.5以上等を確保していないいわゆる代行割れ予備軍については、全体の約5割となっており、代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金は約1割となっています。
また、平成24年度末では、厚生労働省や企業年金連合会発表の資料によれば、代行割れしている厚生年金基金は全体の26.4%を占める148基金となっており、代行部分の1.5以上を確保していない代行割れ予備軍については全体の10.7%を占める60基金であり、代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金は全体の63.9%を占める352基金となっています。
なお、年金資産の積立てについては、資産運用環境が大きな要因となっており、平成24年度は平成23年度に比べて資産運用環境が改善されて12.21%の運用利回りとなりました。そのため、資産も増加し、平成23年度に比べて代行割れ基金も139基金と約半分になりました。
ちなみに、過去11年間で▲19.81%と運用環境が一番悪かった平成20年度は代行割れ基金も478基金と全体の基金の77.5%が代行割れ基金となりました。
このように、年金資産の積立ては運用市場に大きく左右されており、単純に単年度で判断ができない要素を含んでいます。
厚生年金基金の各年度毎の代行割れ基金数と運用利回りの推移は次のとおりです。
○ 代行割れ基金数と運用利回りの推移
今回の法改正で、国では代行部分の年金資産積立が、代行割れしている厚生年金基金については5年以内に解散をおこなうこととなっています。
そのために、5年以内に解散をおこなう代行割れしている厚生年金基金に対して、解散時の最低責任準備金を低く抑えられるように計算方法の特例や事業所が国に返す不足金の納付期間を15年から30年に延長するなどの特例措置が設けられておりますが、5年以内に解散をしない場合には、特例措置を適用しないことになっています。
5年以内に解散や代行返上を行わない代行割れ基金をしていない厚生年金基金については、法施行5年後より代行部分の1.5以上の積立てを確保するか、代行部分とプラスアルファ部分や加算部分を合わせた最低積立基準額が1.0以上の積立てを常に確保することが義務付けられ、もし、確保できない場合は代行割れ予備軍と位置付けて、資産積立が規定を下回った時点で10年以内に解散や確定給付企業年金等の他制度に移行するよう指導していくとともに、場合によっては厚生労働省が解散命令を出すことになっています。
代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金については、今後とも存続基金として継続できますが、今回の法改正の附帯決議として、今後10年以内に代行返上等について見直すことと決議されていますので、10年以内に健全基金についても他の制度に移行するなどして厚生年金基金として廃止の方向に持っていく方向になっています。
従って、ここ2〜3年中に大半の厚生年金基金が解散や代行返上をおこなうと思われます。
以上が法改正後の主なる動きの現況です。なお、個別の厚生年金基金が法改正に対してどのように対応するかについては、各厚生年金基金の個人情報保護に関する事項であり、こちらはポータルサイト年金なびを運営している事務局になりますので、大変申し訳ありませんがご加入の厚生年金基金の情報については直接お電話等でご加入の厚生年金基金にご確認いただくか、厚生年金基金で発行されている「基金だより」等の情報誌、厚生年金基金からのご連絡文書、ホームページ等でご確認願います。
厚生年金基金制度の廃止後の企業年金制度として、今後は確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度等に移行してくために、今回の法改正で企業年金制度の設立条件や、年金給付の弾力化等の措置を講じております。
また、社会保障審議会企業年金部会で、今後、更に企業年金制度に移行しやすくするために確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度等の見直しをおこなっております。
年金なび事務局がある、当社(株式会社セキュリティ情報研究所)は、厚生年金基金や確定給付企業年金の業務を受託できる厚生労働大臣に認定された政令指定法人です。
この度、ご加入されていた厚生年金基金の解散により、新たな企業年金制度のご検討をお考えの際に、事業主様の単体企業においての、規約型や基金型の確定給付企業年金の設立をご検討される場合の制度設計段階から設立までの全般のご支援や、設立後の業務委託全般をお受けしたり、また、その他の既存の総合型の確定給付企業年金基金へのご加入のご紹介等、ご相談に応じております。
なお、既存の生保・信託銀行等の業務委託先と異なるのは、当社は、小規模の確定給付企業年金(規約型・基金型)であっても、制度設計の段階から設立迄のご支援や、その後の業務委託を受託できる体制があることです。業務委託費用のコスト削減にも貢献できるサービス体制を確立しております。
また、制度設計においても、事業主様のご負担を軽減するさまざまなご提案や、従業員の皆様にとっても、より柔軟な年金制度の制度設計を実現する事により、従業員の皆様への福利厚生制度も充実したものに実現できるご提案をさせて頂いております。
【年金なびからのお願い】
年金なびは、企業年金に加入している加入員・受給者及び事業主に対して厚生年金の知識や最新の情報をすべて無料で発信しているポータルサイトです。
(※詳しくは「年金なび」の最初の画面下の「年金なびとは」でご参照願います。)
そのため、一般に公表されている個別の厚生年金基金の情報や、個人の年金の詳細情報等については、個人情報に属する事であるため、年金なびにお問合せを頂いてもお答えできない場合が多々あります。これらの場合においては、ご加入の厚生年金基金に、ご本人から直接電話等において、お問合せ頂く事になります。
しかしながら、お問合せのあった内容につきましては、年金なび事務局からも、ご加入の厚生年金基金に連絡をさせて頂いております。このため、ご加入の厚生年金基金が、加入の事実を特定できるご本人の個人情報を、年金なび事務局からお尋ねする場合がございますので、ご協力を御願い致します。
なお、個々の厚生年金基金の連絡先につきましては、「年金なび」の最初の画面の左下に「基金一覧」が掲載されておりますのでご利用ください。
厚生年金基金制度の見直しおこなった厚生年金保険法改正が昨年の6月19日に成立し、今年の4月1日より施行されました。
改正後の厚生年金保険法の内容については平成25年6月20日付で「年金なび」の「最新の年金情報」や、平成26年3月26日付で「年金なび」の「年金なびからのお知らせ」でお知らせいたしましたが、今回の法改正をうけて、今年度に入り、333の厚生年金基金が既に解散や代行返上をおこなったり、解散や代行返上の内諾を受けましたので、今回は、厚生年金基金の状況についてお知らせいたします。
なお、下記の情報収集の範囲において、個別の特定の基金についての最新情報については、年金なび事務局としては、把握しておりませんので、ご了承ください。
今後とも年金なびをご利用いただき、最新の年金情報の情報収集と、年金なびが提供しております、企業年金加入者向けの専用の、「福利厚生施設」のご活用も併せてお願い申し上げます。
■ | 今年度に入り、23基金が解散や代行返上を行い、62%の厚生年金基金が解散や代行返上の内諾を受ける |
平成26年4月1日より改正された厚生年金保険法の施行されたことに伴い、平成26年4月〜8月末で18基金が解散するとともに、5基金が代行返上をおこなっております。
また、平成26年8月末日現在で508基金のうち62%にあたる315基金が既に厚生労働省より解散や代行返上の内諾を受け、厚生年金基金の事務局では解散や代行返上のための作業に入っています。
厚生年金基金の解散や代行返上の状況については、厚生労働省のホームページで毎月発表されており、年金なびでも「最新の年金情報」で毎月お知らせしておりますが平成26年8月末日現在の解散や代行返上の基金の状況は次のとおりになっています。
1. | 平成26年に入り、既に解散や代行返上を行った基金 | 23基金 | ||
@ | 解散済厚生年金基金 | 18基金 | ||
・ | うち、特例解散厚生年金基金 | (14基金) | ||
A | 代行返上済厚生年金基金 | 5基金 | ||
2. | 508基金中、平成26年8月末日現在で解散や 代行返上への移行方針内諾済基金数 | 315基金 | ||
@ | うち、解散内諾済基金 | 258基金 | ||
A | うち、代行返上内諾済基金 | 57基金 |
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■ 厚生年金基金数はすでにピーク時の27%に減少
厚生年金基金制度は昭和41年10月1日付で施行され、約49年間にわたり企業年金制度の中核を担ってきました。制度の施行時に認可された厚生年金基金は87基金でしたが、その後、日本の景気も右肩上がりとなり、ピーク時の平成8年度には1,883基金にまで増加しました。
しかし、その後、バブル崩壊等による景気低迷で資産運用環境も悪化し、本来最低必要な運用利回りである5.5%の確保ができなくなり、年金資産の目減りが続きました。
年金資産の積立不足については、基金の設立事業所が補填することになっていますが、不足金の補填が企業の経営を圧迫し、企業によっては運用リスクの軽減を図るため、基金の解散や代行返上おこなって、国の代行部分を国に戻す基金がでてきたため、解散や代行返上の受け皿として、平成13年10月1日には確定拠出年金法が施行され、平成14年4月1日には確定給付企業年金法が施行されました。
この新しい企業年金制度ができたため、平成13年度末で存続していた1,737基金が、制度が施行された平成14年度末には1,656基金、平成15年度末には1,357基金、平成16年度末には838基金、平成17年度末には687基金と4年間で1,050基金が減少しました。
しかし、1,050基金のうち、中小企業等が中心となって設立された総合型厚生年金基金は101基金より減少せず、残り949基金は大手企業が中心となって設立された単独型厚生年金基金や連合型厚生年金基金となっています。
単独や連合の厚生年金基金が解散や代行返上をおこなった理由としては、厚生年金基金の設立母体が同一企業や関連企業であるため、母体企業による解散等に伴う不足金の補填が比較的おこないやすいことに対して総合型厚生年金基金は複数の事業主により設立されているため、解散や代行返上時の不足金の補填方法が難しいことが解散や代行返上ができなかった要因と考えられます。
今後の厚生年金基金の解散や代行返上は、中小企業等の同業者等で組織された総合厚生年金基金が中心になってくると思われます。
厚生年金基金数の推移については次のようになっています。
○ 厚生年金基金数の推移
・ | 平成41年10月1日現在 (制度設立時) | 87基金 | |
・ | 平成8年度末(ピーク時) | 1,883基金 | (うち、総合設立基金 643基金) |
・ | 平成13年度末 | 1,737基金 | (うち、総合設立基金 626基金) |
・ | 平成15年度末 | 1,357基金 | (うち、総合設立基金 574基金) |
・ | 平成20年度末 | 617基金 | (うち、総合設立基金 496基金) |
・ | 平成25年度末 | 531基金 | (うち、総合設立基金 466基金) |
・ | 平成26年9月1日現在 | 506基金 | (うち、総合設立基金 449基金) |
(厚生労働省発表の資料に基づく) |
■ 今後解散をする予定の厚生年金基金は全体の約50%
企業年金連合会では、毎年財政・事業運営実態調査をおこなっておりますが、その際に厚生年金基金制度見直しの予定の調査もおこなっています。去る9月12日に発表された平成25年度の調査結果によれば、解散する予定の厚生年金基金は50.3%であり、確定給付型の企業年金として存続の方針の厚生年金基金は17.5%になっています。残り31.3%についても今後、検討する予定と回答しています。
ちなみに、昨年度の調査結果と比較しますと、今後、検討する予定の厚生年金基金は約半分に減っている一方、解散する予定の厚生年金基金は2倍になっています。このことは、法改正を受けて今後の方針ついて具体的な検討に入っていることによるためと思われます。
厚生年金基金制度改正を踏まえた制度運営方針や解散後の他の企業年金制度への移行方針の詳細については次のようになっています
1.厚生年金基金制度改正を踏まえた制度運営方針
@ | 確定給付型の企業年金として存続の方針 | 17.5%(12.3%) |
A | 今後、検討する予定 | 32.1%(62.4%) |
B | 通常解散する方針 | 31.3%(13.9%) |
C | 特例解散の認定を申請の予定 | 19.0%(11.9%) |
2.解散後の他の企業年金制度への移行方針
(1.でC通常解散の方針の基金、複数選択有)
@ | 確定給付企業年金に移行 | 15.4%(7.1%) |
A | 企業型確定拠出年金に移行 | 9.7%(1.8%) |
B | 中小企業退職金共済制度に加入 | 18.0%(3.6%) |
C | 残余財産を分配又は企業年金連合会へ移換し清算 | 22.6%(23.2%) |
D | 解散後の企業年金制度は設立事業所の自主性に委ねる | 53.8%(57.1%) |
E | 個別事業所の状況は把握していない | 33.3%(0.0%) |
F | 今後、検討する予定 | 0.0%(28.6%) |
G | 現在検討中 | 26.7%(0.0%) |
3.今後5年間の制度見直しの予定(1.で@、A、Bの基金、複数選択有)
@ | 掛金の引上げ | 4.5%(10.9%) |
A | 予定利率の引下げ | 26.6%(23.2%) |
B | 給付水準の引下げ(加入員減額) | 15.4%(16.9%) |
C | 給付水準の引下げ(受給者減額) | 6.7%(11.3%) |
D | 終身年金を有期年金に変更 | 20.2%(10.6%) |
E | 具体的方法は検討中 | 37.5%(58.1%) |
F | 検討の予定はない | 30.3%(11.6%) |
G | その他を検討予定 | 37.4%(40.2%) |
※( )内は前年度の調査結果を示す | ||
(企業年金連合会の「厚生年金基金制度見直しの予定の調査結果」による) |
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■ 国の代行部分に対する年金資産積立不足の厚生年金基金は全体の26.4%
今回の法改正は国の年金の代行部分である年金資産積立が、最低1.0を割り込んでいる代行割れ基金については5年以内に解散をおこなうことになっています。
また、代行割れ基金をしていない厚生年金基金についても、法施行の5年後より代行部分の1.5以上の積立てを確保するか、代行部分とプラスアルファ部分や加算部分を合わせた最低積立基準額が1.0以上の積立てを常に確保することが義務付けられ、もし、確保できない場合は代行割れ予備軍と位置付けて、今後5年以降10年以内に解散や確定給付企業年金等の他制度に移行するよう指導していくことになっています。
ちなみに、厚生労働省が第14回社会保障審議会年金部会に提出した資料によれば、代行割れ基金は全体の約4割であり、代行部分の1.5以上等を確保していないいわゆる代行割れ予備軍については、全体の約5割となっており、代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金は約1割となっています。
また、平成24年度末では、厚生労働省や企業年金連合会発表の資料によれば、代行割れしている厚生年金基金は全体の26.4%を占める148基金となっており、代行部分の1.5以上を確保していない代行割れ予備軍については全体の10.7%を占める60基金であり、代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金は全体の63.9%を占める352基金となっています。
なお、年金資産の積立てについては、資産運用環境が大きな要因となっており、平成24年度は平成23年度に比べて資産運用環境が改善されて12.21%の運用利回りとなりました。そのため、資産も増加し、平成23年度に比べて代行割れ基金も139基金と約半分になりました。
ちなみに、過去11年間で▲19.81%と運用環境が一番悪かった平成20年度は代行割れ基金も478基金と全体の基金の77.5%が代行割れ基金となりました。
このように、年金資産の積立ては運用市場に大きく左右されており、単純に単年度で判断ができない要素を含んでいます。
厚生年金基金の各年度毎の代行割れ基金数と運用利回りの推移は次のとおりです。
○ 代行割れ基金数と運用利回りの推移
年 度 | 厚生年金基金総数 | うち、代行割れ基金数 | 運用利回り | |
基 金 数 | 比率(%) | |||
平成14年度末 | 1,656 | 610 | 36.8 | ▲12.46 |
平成15年度末 | 1,357 | 262 | 19.3 | 16.17 |
平成16年度末 | 837 | 175 | 20.9 | 4.74 |
平成17年度末 | 687 | 24 | 3.5 | 21.08 |
平成18年度末 | 658 | 19 | 2.9 | 4.62 |
平成19年度末 | 626 | 161 | 25.7 | ▲12.03 |
平成20年度末 | 617 | 478 | 77.5 | ▲19.81 |
平成21年度末 | 608 | 242 | 39.8 | 15.48 |
平成22年度末 | 595 | 213 | 35.8 | 1.00 |
平成23年度末 | 577 | 287 | 49.7 | 1.33 |
平成24年度末 | 560 | 148 | 26.4 | 12.21 |
(注:23年度までの資料は厚生労働省「厚生年金基金制度に関する専門委員会」資料による)
■ 今後10年間で厚生年金基金制度を全廃の方針
今回の法改正で、国では代行部分の年金資産積立が、代行割れしている厚生年金基金については5年以内に解散をおこなうこととなっています。
そのために、5年以内に解散をおこなう代行割れしている厚生年金基金に対して、解散時の最低責任準備金を低く抑えられるように計算方法の特例や事業所が国に返す不足金の納付期間を15年から30年に延長するなどの特例措置が設けられておりますが、5年以内に解散をしない場合には、特例措置を適用しないことになっています。
5年以内に解散や代行返上を行わない代行割れ基金をしていない厚生年金基金については、法施行5年後より代行部分の1.5以上の積立てを確保するか、代行部分とプラスアルファ部分や加算部分を合わせた最低積立基準額が1.0以上の積立てを常に確保することが義務付けられ、もし、確保できない場合は代行割れ予備軍と位置付けて、資産積立が規定を下回った時点で10年以内に解散や確定給付企業年金等の他制度に移行するよう指導していくとともに、場合によっては厚生労働省が解散命令を出すことになっています。
代行部分の1.5以上等を確保している健全な基金については、今後とも存続基金として継続できますが、今回の法改正の附帯決議として、今後10年以内に代行返上等について見直すことと決議されていますので、10年以内に健全基金についても他の制度に移行するなどして厚生年金基金として廃止の方向に持っていく方向になっています。
従って、ここ2〜3年中に大半の厚生年金基金が解散や代行返上をおこなうと思われます。
以上が法改正後の主なる動きの現況です。なお、個別の厚生年金基金が法改正に対してどのように対応するかについては、各厚生年金基金の個人情報保護に関する事項であり、こちらはポータルサイト年金なびを運営している事務局になりますので、大変申し訳ありませんがご加入の厚生年金基金の情報については直接お電話等でご加入の厚生年金基金にご確認いただくか、厚生年金基金で発行されている「基金だより」等の情報誌、厚生年金基金からのご連絡文書、ホームページ等でご確認願います。
■ 厚生年金基金制度廃止後の企業年金制度
厚生年金基金制度の廃止後の企業年金制度として、今後は確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度等に移行してくために、今回の法改正で企業年金制度の設立条件や、年金給付の弾力化等の措置を講じております。
また、社会保障審議会企業年金部会で、今後、更に企業年金制度に移行しやすくするために確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度等の見直しをおこなっております。
■ | 年金なび事務局では厚生年金基金解散後の企業年金制度設立等の相談に応じております |
年金なび事務局がある、当社(株式会社セキュリティ情報研究所)は、厚生年金基金や確定給付企業年金の業務を受託できる厚生労働大臣に認定された政令指定法人です。
この度、ご加入されていた厚生年金基金の解散により、新たな企業年金制度のご検討をお考えの際に、事業主様の単体企業においての、規約型や基金型の確定給付企業年金の設立をご検討される場合の制度設計段階から設立までの全般のご支援や、設立後の業務委託全般をお受けしたり、また、その他の既存の総合型の確定給付企業年金基金へのご加入のご紹介等、ご相談に応じております。
なお、既存の生保・信託銀行等の業務委託先と異なるのは、当社は、小規模の確定給付企業年金(規約型・基金型)であっても、制度設計の段階から設立迄のご支援や、その後の業務委託を受託できる体制があることです。業務委託費用のコスト削減にも貢献できるサービス体制を確立しております。
また、制度設計においても、事業主様のご負担を軽減するさまざまなご提案や、従業員の皆様にとっても、より柔軟な年金制度の制度設計を実現する事により、従業員の皆様への福利厚生制度も充実したものに実現できるご提案をさせて頂いております。
【年金なびからのお願い】
年金なびは、企業年金に加入している加入員・受給者及び事業主に対して厚生年金の知識や最新の情報をすべて無料で発信しているポータルサイトです。
(※詳しくは「年金なび」の最初の画面下の「年金なびとは」でご参照願います。)
そのため、一般に公表されている個別の厚生年金基金の情報や、個人の年金の詳細情報等については、個人情報に属する事であるため、年金なびにお問合せを頂いてもお答えできない場合が多々あります。これらの場合においては、ご加入の厚生年金基金に、ご本人から直接電話等において、お問合せ頂く事になります。
しかしながら、お問合せのあった内容につきましては、年金なび事務局からも、ご加入の厚生年金基金に連絡をさせて頂いております。このため、ご加入の厚生年金基金が、加入の事実を特定できるご本人の個人情報を、年金なび事務局からお尋ねする場合がございますので、ご協力を御願い致します。
なお、個々の厚生年金基金の連絡先につきましては、「年金なび」の最初の画面の左下に「基金一覧」が掲載されておりますのでご利用ください。
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