■「厚生年金基金制度に関する専門家委員会」としての意見
昨年のAIJ投資顧問の問題に端を発した、厚生年金基金制度の一律廃止との厚生労働省の試案の取扱いについて、
去る2月1日の※1「厚生年金基金制度に関する専門家委員会」で厚生年金制度の在り方について「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』
に関する意見」として委員会の意見のとりまとめがおこなわれました。
その結果、委員会の意見としては健全な基金については、存続させて
もよいのではないかとの一部の委員からの意見の併記はされてはいるが、10年間の移行期間を経て代行制度を廃止するという方向で意見がとりまとめられました。
「厚生年金基金制度に関する専門家委員会」ではこの意見の取りまとめを受けて、近く委員会としての報告書を取りまとめをおこなう予定になっています。
(詳細については2月1日付「年金なび」の「最新の新着情報」をご覧ください)
■田村厚生労働大臣の見解 この委員会での意見がとりまとめについて、
2月1日の厚生労働大臣の記者会見の席上、厚生年金基金制度の一律廃止について、「政府としては一部存続ということなのか」との質問に対して、田村厚生労働大臣は「積立金等
を確保できているような基金に対しては存続してもいいのではないかという意見もあるというのは既に聞いているので、委員会の意見を慎重に聞かせいただきながら、自民党、公明党
とも相談していかなければならない問題であるので、相談をさせていただいて、決めさせていただきたいと思っている。」との発言がありました。
また、2月5日の厚生労働大臣の記者会見では厚生年金基金制度の一律廃止について「与党と協議をいつ頃までに行いたいという考えか」との質問に対して、
厚生労働大臣より「大変厳しい状況になっている基金に関しては、基金の方からも、早く制度というものを固めてほしいというような要望を頂いており、多分、解散を望まれる基金にしてみれば、
今非常に解散し辛い状況になっているので、財政状況が悪化する前に解散をしたいという思いがあると思うので、そのためにもできる限り今国会に何とかという思いは厚生労働省としてはある。
そういう意味からすると与党の方にももう喫緊に議論をいただいて、委員会の報告の内容を踏まえた上で、与党の方針というものを示してもらい、法案の方を作っていきたいとの発言がありました。
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■企業年金連合会が委員会の意見に対して遺憾である旨の意見書を提出
今回の「厚生年金基金制度に関する専門家委員会」の「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」に対して、
※2企業年金連合会では「委員会の意見書はきわめて遺憾であり、企業年金関 係者の意見に真摯に耳を傾けるよう要望する」旨の意見書を、去る2月4日に専門家委員会の委員長と厚生労働大臣宛に手渡しました。
(詳細については2月4日付「年金なび」の「最新の新着情報」をご覧ください)
■厚生年金基金制度の一律廃止をめぐる今後の見通し「専門家委員会」においては10年間の移行期間を経て代行制度を廃止するという方向で意見がとりまとめられましたが、今後、委員会の報告書をうけて
厚生労働省では法制化をすることになります。
その際に厚生労働大臣の見解やこれから検討される与党(自民党・公明党)の方針をどのように反映させるかが焦点になると思われます。
また、仮に厚生労働省が「厚生年金基金制度の一律廃止」とした法律改正案を作成した場合でも、現在のところ閣議でそのまま承認するかどうかの見通しがつきません。
以上のように、今回は専門家委員会としては厚生年金基金制度の一律廃止としての意見が取りまとめられましたが、法制化されて国会に上程されるまで今後とも色々な動きが予想されます。
年金なびでは、今後ともこの問題に対して新しい動きがあり次第、皆様にお知らせさせていただきます。
※1 「厚生年金基金制度に関する専門家委員会」の検討内容については、「年金なび」の「トピックス」をご覧ください。
※2 「企業年金連合会」については、「年金なび」の「年金用語集」をご覧ください。
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