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【給付の仕組み】
(出典:日本年金機構ホームページより)




《国民年金から支給される給付の種類》

@老齢基礎年金
A障害基礎年金
B遺族基礎年金
Cその他の給付
・付加年金
・寡婦年金
・死亡一時金
・短期在留外国人の脱退一時金
D特別障害給付制度



《老齢基礎年金》



『支給要件と年金額』

●支給要件
・老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合で、65歳になったときに支給。
・保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合でも、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が10年以上である場合は支給。

※平成29年7月31日までは、老齢基礎年金・老齢厚生年金を受けるためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上が必要であった。

●支給開始年齢
原則として65歳。
ただし、60歳から減額された年金の繰上げ支給や、66歳から70歳までの希望する年齢から増額された年金の繰下げ支給の請求ができる。

●年金額(令和4年4月分から)


・ 平成21年3月分までの免除期間については、全額免除は3分の1、4分の1納付は2分の1、半額納付は3分の2、4分の3納付は6分の5で、それぞれ計算します。
・ 20歳から60歳になるまでの第2号被保険者および第3号被保険者の期間も保険料納付済期間に含みます。
・ 免除等期間について、あとから保険料を追納している期間は、保険料納付済期間に含みます。(学生納付特例、納付猶予の期間は、保険料を追納していない場合、年金額には反映されません。)
・ 昭和16年4月1日以前に生まれた方は、昭和36年4月から60歳になるまでの期間の保険料をすべて納付すると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。
・ 国民年金の付加保険料を納めた期間がある場合は、200円に付加保険料納付月数を乗じた額が老齢基礎年金(年額)に上乗せされます。

『年金の繰上げ・繰下げ』

●全部繰上げ

全部繰上げを請求した方は下記の減額率によって計算された年金額が減額される。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

〇昭和37年4月1日以前生まれの方(ひと月当たりの減額率0.5% )の減額率


※昭和37年4月2日以降生まれの方については令和4年4月から減額率が1ケ月あたり0.5%から0.4%に引下げられます。

●繰上げ請求の注意点

繰上げ請求をする際は、以下の点にご注意ください。

1.老齢年金を繰上げ請求すると、繰上げする期間に応じて年金額が減額されます。生涯にわたり減額された年金を受給することになります。
2.繰上げ請求すると、請求した日の翌月分から、年金が支給されます。
3.老齢年金を繰上げ請求した後は、繰上げ請求を取消しすることはできません。
4.老齢年金を繰上げ請求すると、国民年金の任意加入や、保険料の追納はできなくなります。
5.共済組合加入期間がある場合、共済組合から支給される老齢年金についても、原則同時に繰上げ請求することとなります。
6.繰上げ請求すると、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。
7.65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となります。(老齢基礎年金は支給停止されません。)
8.厚生年金保険に加入した場合のほか、国会議員や地方議員になった場合には、給与や賞与の額に応じて、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。(繰上げ請求した老齢基礎年金は支給停止されません。)
9.繰上げ請求した老齢年金は、65歳になるまでの間、遺族厚生年金や遺族共済年金などの他の年金と併せて受給できず、いずれかの年金を選択することになります。
10.繰上げ請求した日以後は、国民年金の寡婦年金は支給されません。寡婦年金を受給中の方は、寡婦年金の権利がなくなります。
11.繰上げ請求した日以後は、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金を請求することができません。(治療中の病気や持病がある方は注意してください。)
12.老齢厚生年金の繰上げ請求をした場合、厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置を受けることができなくなります。
13.老齢厚生年金や退職共済年金を受給中の方が繰上げ請求すると、これらの年金に定額部分の支給がある場合は、定額部分は支給停止されます。

●一部繰上げ
 昭和16年4月2日から昭和24年4月1日(女子は昭和21年4月2日 から昭和29年4月1日)生まれの人は、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が段階的に引き上がることから、この支給開始年齢に到達する前に希望すれば一部繰上げ支給の老齢基礎年金を受けることができる。
一部繰上げを請求した方は、下記により、年金額が計算される。
繰り上げ計算
☆ 特例支給開始年齢とは、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢である。
65歳からは老齢基礎年金の加算額が加算される。
加算計算

●繰下げ請求と増額率

 昭和27年4月1日以降生まれの方より適用

 (注)繰下げの請求を行う月によって増額率は異なり、65歳になった月から繰下げの申出を行った月の前日までの月数に応じて1ヵ月増すごとに0.7%ずつ高くなる。

【注記】
※令和4年4月から繰下げの上限年齢が70歳から75歳に引上げられ、増額率も75歳では184%の増額率となります。
昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。

《障害基礎年金》

■受給要件・支給開始時期・計算方法・年金額

●受給要件・支給開始時期・計算方法
障害基礎年金
支給要件1.国民年金に加入している間に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」という。)があること
 ※20歳前や、60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含む。
2.一定の障害の状態にあること
3.保険料納付要件
 初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はない
 (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
 (2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
障害認定時
 初診日から1年6ヶ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)または20歳に達した日に障害の状態にあるか、または65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合。
 ※例えば、初めて医師の診療を受けた日から1年6ヶ月以内に、次の1.〜8.に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となる。

1.人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日
2.人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
3.心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日
4.人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設又は手術を施した日から起算して6ヶ月を経過した日
5.新膀胱を造設した場合は、造設した日
6.切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)
7.喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
8.在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
年金額 (令和4年4月分から)【1級】 777,800円×1.25+子の加算
【2級】 777,800円+子の加算

子の加算
・第1子・第2子 各 223,800円
・第3子以降 各 74,600円
子とは次の者に限る
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害等級1級または2級の障害者
障害等級の例1級
・両上肢の機能に著しい障害を有するもの
・両下肢の機能に著しい障害を有するもの
・次に掲げる視覚障害
 イ 両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
 ロ 一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
 ハ ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(※)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(※)視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
 ニ 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
・両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
・その他
2級
・1上肢の機能に著しい障害を有するもの
・1下肢の機能に著しい障害を有するもの
・次に掲げる視覚障害
 イ 両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
 ロ 一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
 ハ ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(※)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(※)視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
 ニ 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
・両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
・その他
障害認定基準障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障害などの外部障害のほか、精神障害やがん、糖尿病などの内部障害も対象となる。
病気やケガの主なものは次のとおり。
1.外部障害
 眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
2.精神障害
 統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
3.内部障害
 呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

【注記】
 ※令和4年4月より障害等級の視力が、両眼の視力から良いほうの眼の視力で判定するように変わりました。

 ●20歳前傷病による障害基礎年金にかかる所得制限
20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、本人が保険料を納付していないことから、所得制限が設けられており、所得額が370万4干円を超える場合には年金額の2分の1相当額に限り支給停止とし、472万1干円を超える場合には全額支給停止とする二段階制がとられている。


なお、世帯人数が増加した場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円(※)加算される。

※対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円加算。特定扶養親族等であるときは1人につき63万円加算となる。


《遺族基礎年金》

■受給要件・支給開始時期・計算方法・年金額

 ●受給要件・支給開始時期・計算方法


《その他の給付》




『付加年金』

●付加年金とは
 国民年金第1号被保険者ならびに任意加入被保険者は、定額保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、受給する年金額を増やことができる制度。

●付加年金額
 付加年金額は、「200円×付加保険料納付月数」で計算し、2年以上受け取ると支払った付加保険料以上の年金が受け取れます。
 例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めていた場合の年金額は次のとおりとなります。

(付加保険料)= 400円 × 480月(40年) = 192,000円(付加年金額)= 200円 × 480月(40年) = 96,000円
(付加保険料)192,000円 ÷ (付加年金額)96,000円 = 2年
(毎月の定額保険料(令和4年度:16,590円)を40年間納めた場合の老齢基礎年金額⇒777,800円 ※令和4年度時点での金額)

付加年金は定額のため、物価スライド(増額・減額)はない。

●付加年金に関する注意事項

 1.付加保険料の納付は、申し込んだ月分から
   ※農業者年金に加入している被保険者は、加入した月からの開始
 2.付加保険料の納期限は、翌月末日(納期限)。
 3.納期限を経過した場合でも、期限から2年間は付加保険料を納めることができる。
 4.付加保険料を納付することを希望しない場合は、付加保険料納付辞退申出書の提出が必要。
 5.国民年金基金に加入している方は、付加保険料を納めることはできない。
 6.月末が土曜日、日曜日、休日等にあたる場合及び年末の納期限は、翌月最初の金融機関等の営業日。

●付加保険料の納付をやめる場合の手続き
 付加保険料を納めていただいている方が付加保険料の納付をやめる場合は、付加保険料納付辞退申出書を提出。
 業者年金の資格を喪失した方は、付加保険料納付非該当届の提出が必要。

『寡婦年金』

●寡婦年金とは
 第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上(注)ある夫が亡くなった時に、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給される。
(注) 平成29年8月1日より前の死亡の場合、25年以上の期間が必要。

●寡婦年金額

 年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3。
  亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合で老齢基礎年金を受けたことがある場合や妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されない。

『死亡一時金』

●死亡一時金とは
 第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算)が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給。

●死亡一時金額

 ・死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円〜320,000円。
 ・付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算。
 ・寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択。
 ・死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年。
 ・遺族が遺族基礎年金を受けられるときは支給されない。

『短期在留外国人の脱退一時金』

●短期在留外国人の脱退一時金とは

 日本国籍を有しない方が、国民年金又は厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができる制度。

●支給要件

 ・日本国籍を有していない

 ・公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない

 ・保険料納付済期間等の月数の合計(※)が6月以上ある(国民年金に加入していても、保険料が未納となっている期間は要件に該当しない。)


※保険料納付済期間等の月数の合計とは

請求日の前日において、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者も含みます)としての被保険者期間にかかる次の1〜4を合算した月数のことをいいます。
・保険料納付済期間の月数
・保険料半額免除期間×2分の1
・保険料4分の3免除期間×4分の1


・老齢年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間等を合算して10年間)を満たしていない
・障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
・日本国内に住所を有していない
・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)

●脱退一時金の額
 国民年金の脱退一時金の支給額は、最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額と保険料納付済期間等の月数に応じて計算します。なお、2021年(令和3年)4月より、最後に保険料を納付した月が2021年(令和3年)4月以降の方については、計算に用いる被保険者期間の上限月数が60月(5年)となりました。

●脱退一時金の計算式

 最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額×2分の1×支給額計算に用いる数

「支給額計算に用いる数」は、保険料納付済期間等の月数の区分に応じて定められています。

  最後に保険料を納付した月が、2022年(令和4年)4月から2023年(令和5年)3月の場合の具体的な支給額は、以下のとおりです
   最後に保険料を納付した月が2022年(令和4年)4月から2023年(令和5年)3月の場合




《特別障害給付金》

■特別障害給付金制度とは

●制度の概要
国民年金に任意加入していなかったことにより、障害基礎年金等を受給していない障害者の方について、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情にかんがみ、福祉的措置として「特別障害給付金制度」を創設。

●支給の対象となる方
1.平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生(※1)
2.昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者等(※2)の配偶者であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日(※3)があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある方が対象。ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当された方に限られる。
なお、障害基礎年金や障害厚生年金、障害共済年金などを受給することができる方は対象にならない。
また、給付金を受けるためには、厚生労働大臣の認定が必要。

(※1)国民年金任意加入であった学生とは、以下を目安とする。
  ・次の(1)又は(2)の昼間部在学していた学生(定時制、夜間部、通信を除く。)
  (1) 大学(大学院)、短大、高等学校および高等専門学校
  (2) また、昭和61年4月から平成3年3月までは、上記(1)に加え、専修学校及び一部の各種学校
(※2)被用者等の配偶者とは、以下の場合となる。
  (1) 被用者年金制度(厚生年金保険、共済組合等)の加入者の配偶者
  (2) 上記(1)の老齢給付受給権者及び受給資格期間満了者(通算老齢・通算退職年金を除く)の配偶者
  (3) 上記(1)の障害年金受給者の配偶者
  (4) 国会議員の配偶者
  (5) 地方議会議員の配偶者(ただし、昭和37年12月以降)
(※3)障害の原因となる傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日

●支給額
 障害基礎年金1級相当に該当する方:令和2年度基本月額52,300円(2級の1.25倍)
 障害基礎年金2級相当に該当する方:令和2年度基本月額41,840円
  ※特別障害給付金の月額は、前年の消費者物価指数の上昇下降に合わせて毎年度自動的に見直しされる。

   ・本人の所得が一定の額以上であるときは、支給額の全額又は半額が停止される場合がある。
    支給停止となる期間は、10月分から翌年9月分までとなる。
   ・老齢年金、遺族年金、労災補償等を受給されている場合には、その受給額分を差し引いた額を支給。
    (老齢年金等の額が特別障害給付金の額を上回る場合は、特別障害給付金は支給されない。