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制度改正等
(出典:厚生労働省「2020年の制度改正」より)

《確定拠出年金の拠出金限度額の見直し》

令和2年5月29日に成立し、6月5日に公布された確定拠出年金法の改正に伴い、今後施行される改正事項は次のとおりである。


『令和6年12月1日施行』

■企業型DC、iDeCoの拠出限度額にDB等の他制度ごとの掛金相当額を反映
・企業型DC、iDeCoの拠出限度額について、全てのDB等の他制度の 金相当額を一律月額2.75万円と評価している点を見直し、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額(他制度掛金相当額)を反映することで、公平できめ細かな算 方式に改善を図る。
※他制度掛金相当額とは、DB等の他制度ごとにその給付水準から企業型DCと比較可能な形で評価したもので、複数のDB等の他制度に加入している場合はその合算となります。DB等の他制度には、公務員の年金払い退職給付を含む。

 ●企業年金に加入する者のiDeCoの拠出限度額の見直し
iDeCoの拠出限度額の算定に当たって、全てのDB等の他制度の掛金相当額を一律評価している現状を改め、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額の実態を反映するとともに、上限を月額2万円に統一し、企業年金(企業型DC、DB等の他制度)に加入する者の拠出限度額について公平を図る。

企業年金に加入する者のiDeCoの拠出限度額は、「月額2万円、かつ、事業主の拠出額(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)との合計が月額5.5万円の範囲内」となり、事業主の拠出額が3.5万円を超えると、その分、iDeCoの拠出限度額は2万円から減ることとなる。
【iDeCo掛金の年単位拠出の取扱い】
 企業型DCに加入する者<(1)・(2)>は2022年10月1日から、(3)のDB等の他制度のみに加入する者(公務員を含む)は2024年12月1日から、iDeCoの掛金の拠出方法が「月単位拠出」のみ可能となります。(※)は、iDeCoの掛金拠出について「年単位拠出」とすることができる。
 最終的には、iDeCoの掛金については「年単位拠出」が可能である者は、事業主の拠出がない「国民年金第1号被保険者」、「企業型DC、DB等の他制度のいずれにも加入していない国民年金第2号被保険者 」、「国民年金第3号被保険者」の3区分となる。

 ●企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の拠出限度額
上記の見直しを図ることにより、2024年12月からの企業型DCとiDeCoの掛金の拠出限度額は下表のとおりとなる。
企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額によっては、この見直しによりiDeCoの掛金の上限が小さくなったり、掛金を拠出できなくなったりすることがある。

 ●iDeCoの掛金を拠出できなくなった場合の脱退一時金の受給について
上記の見直しにより、DB の他制度に加入する者(企業型DCに加入する者を除く。)は、DB等の他制度掛金相当額によっては、iDeCoの掛金の上限が小さくなったり、掛金を拠出できなくなったりすることがある。
iDeCoの掛金を拠出できなくなった場合(DB等の他制度掛金相当額が3.5万円を上回り、かつ、2万円から、当該他制度掛金相当額から3.5万円を控除した額を控除した額が、iDeCoの掛金の最低額を下回る場合)は、資産額が一定額(25万円)以下である等の脱退一時金の支給要件を満たした場合に脱退一時金を受給することができるようになる。
※企業型DCに加入する者も、5.5万円から各月の企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額を控除した額が、iDeCoの掛金の最低額を下回る場合はiDeCoに掛金を拠出できなくなりますが、iDeCoの個人別管理資産を企業型DCに移換し 運用を継続することができるため、企業型DCに加入する場合は脱退一時金を受給することはできない。




『令和4年10月1日施行』

■企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和
・2022年10月から、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築することで、企業型DCの加入者は規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに原則加入できるようになる。
ただし、企業型DCの事業主掛金額とiDeCoの掛金額は、それぞれ以下の表のとおりであることに留意が必要。
また、企業型DCの加入者掛金の拠出(マッチング拠出)を選択している場合や、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、iDeCoには加入できない。

 ●企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の拠出限度額
iDeCoの掛金額は、月額2万円(DB等の他制度にも加入している場合は月 1.2万円)、かつ事業主の拠出額と合算して月額5.5万円(同2.75万円)の範囲内とすることが必要。


 ※DB等の他制度にも加入している場合は、5.5万円→2.75万円、3.5万円→1.55万円、2.0万円→1.2万円

 ●企業型DC加入者のiDeCo加入要件(企業型DCの年単位拠出の取扱い)
企業型DCの事業主掛 とiDeCoの掛金については、平成30年1月から任意に決めた月にまとめて拠出(いわゆる年単位拠出)することも選択可能となっているが、今回の要件緩和は、事業主掛金とiDeCoの掛金について、各月の拠出限 額の範囲内 の各月拠出に限る。
事業主掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、当該企業型DCの加入者はiDeCoに加入することができない。
※企業型DC加入者がiDeCoに加入するには、iDeCoの掛金も各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出とする必要がある。

 ●企業型DC加入者のマッチング拠出とiDeCo加入の選択
マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者については、マッチング拠出とするかiDeCoに加入するかを加入者ごとに選択できるようになります。


『令和4年5月1日施行』

 ●確定拠出年金の加入可能年齢が変わります
・個人型(iDeCo)の確定拠出年金への加入可能年齢が公的年金の被保険者 あれば65歳まで加入が可能となります(現在は60歳まで加入が可能)。
現 在 ・個人型確定拠出年金の加入可能年齢は60歳未満になっています。
     また、受給開始年齢の繰り下げについても65歳〜70歳までの間となっています。
改正後 ・個人型確定拠出年金の加入可能年齢が公的年金の被保険者であれば65歳未満まで加入できるようになります。
     また、受給開始年齢 繰り下げできる年齢も65歳〜75歳まで伸びます。

■脱退一時金の受給要件の見直し
 ●個人型DC(iDeCo)の脱退一時金の受給要件の見直し
・これまで、iDeCoの中途引き出し(=脱退一時金の受給)が例外的に認められていたのは、国民年金の保険料免除者である方に限られていた。
また、iDeCo加入者が海外に居住して国民年金被保険者(第1・2・3号)に該当しなくなった場合、iDeCoに加入することもできず、保険料免除者に該当することはなく中途引き出しもできなかった。
・2022年5月からは、国民年金被保険者となることができない方で、通算の掛金拠出期間が短いことや、資産額が少額であることなどの一定の要件を満たす場合には、iDeCoの脱退一時金を受給できるようになった。

■制度間年金資産の移換(ポータビリティ)の改善
・2022年5月から「終了した確定給付企業年金(DB)からiDeCoへの年金資産の移換」と、「加入者の退職等に伴う企業型DCから通算企業年金への年金資産の移換」を可能とする。


『令和4年4月1日施行』

■確定拠出年金の受給開始の上限年齢の引き上げ
・確定拠出年金の受給開始の上限年齢を70歳から75歳まで引き上げる。